会社の業績は従業員が作っています。その従業員の士気や職場への定着率が良い状態なら、会社の業績は良くなります。その手段の一つとして今回は福利厚生について記事にしてみます。
結論から言うと、福利厚生を利用して従業員が満足する職場環境を作るのですが、そのキーパーソンになるのが現場の中間管理職であることが誰も気付いていないということなのです。
給料を貰う為に仕事をしているのではなく人生を豊かにする為に仕事をしているという考えは、もう新しくもなく従業員には根付いています。ただそう言う従業員の声を会社が聞いているかは、今後考えるべきポイントだと思います。従業員は人生の大部分の時間を会社に捧げて給料を貰ていますが今の時代会社に人生を捧げる人はいないと思います。
仕事が楽しく出来ればそれ自体人生の豊かさにもつながりますが、仕事は業績を求められるものですので、時には従業員も疲弊します。そして従業員の仕事に対するモチベーションが下がると、労働生産性が下がったり、人によっては転職を考えたりするものです。
会社が業績や生産性を求めるなら、その会社で働くことで人生が豊かになることや従業員が自分たちが大切にされていると感じさせる事が重要になります。
この職場で働く事で自分が成長できると思えると従業員は会社に自ずと貢献し会社の業績も向上します。
その為に会社は従業員を満足させる職場になっているかという点で福利厚生について今考えていかなければなりません。この記事では福利厚生について今の時代どうあるべきかと管理職としてどのように取り組むべきかを考えていきたいと思います。
福利厚生について理解を深める
そもそも福利厚生とは会社が給与といった基本的な働きの対価に加えて従業員やその家族に提供する報酬です。
福利厚生の内容は会社主導のものと従業員参加型のものがあるというのは何となく知っている方も居られると思います。具体的には下記の一覧をご覧頂くと分かりますが、実は大きく分けて法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類あります。
法定福利厚生とは従業員を一人でも雇っていれば会社は法律によって用意しなければならないものです。法定外福利厚生はその中で2種類あり法律では定められてはいないのですが会社が独自で用意しているもので、自社運用のものと社外の代行サービスのものがあります。
法定福利厚生 | 法定外福利厚生 | |
自社運用 | 代行サービス | |
健康保険 | 交通費 | 財産形成 |
介護保険 | 家族手当・育児手当 | 育児支援 |
雇用保険 | 住宅手当・家賃補助 | 健康増進 |
労災保険 | リフレッシュ休暇 | レジャー・スポーツ |
厚生年金保険 | 資格取得手当 | 旅行・宿泊 |
子供子育て拠出金 | 特別休暇・慶弔金 | カウンセラー設置 |
社員食堂・食事補助 | 保育施設 | |
持株会 | 社員旅行 | |
育児休暇・介護休暇(法定以上) | 生命保険の団体割引 | |
人間ドック(法定以上) | ||
ライフサポート |
法定福利厚生の方は雇われている従業員の特権ですが、一度社会保険はどの位の金額を会社が負担してくれているのかを確認する事から福利厚生について関心をもってみると良いともいます。自社の法定外福利厚生の自社運用部門ではどのような手当や補助があるのかも確認し、代行サービス部門では後で紹介する他社の代行サービスと比べてみると、自社の従業員に対する扱い状況が見えてきます。
福利厚生のよくある現状と問題点
自社にある福利厚生の内容を職場で上司と部下が話題にしたことがあるでしょうか。ここからは法定外福利厚生について取り上げていきます。
福利厚生はあるのに意外と使われていないことがよくあります。
その理由は、そもそも使い方が分からないや内容を知らないという事や休暇が取れない、福利厚生の存在自体が意識の外にあるというものです。
理由は様々ですが福利厚生が利用されていない職場環境そのものは会社の成長においてマイナス要因である事を管理者は認識すべきです。
利用されない福利厚生は魅力がなく、いずれは会社にも魅力がないことに繋がり従業員離れを招いてしまう危険もあり得ます。
会社に人生を捧げる従業員はもう居ない
福利厚生が何のためにあるのかを今の時代に合わせて考え直すと、この従業員離れなどに繋がる会社のマイナス要因の問題解決の糸口になります。
ポイントは従業員の豊かな生活です。
今までは終身雇用で従業員は放っておいても会社に人生の時間を捧げていましたので、福利厚生が無くても何も問題がありませんでした。むしろ福利厚生を利用したいと言う事自体が何の為に会社に来ているのかと逆に問われる状況でした。
しかし今の時代終身雇用はありません。
従業員は不安を持ちながら働き、仕事に対する考え方も若年層になるにつれ変化してきました。
仕事と言うものは人生を豊かに過ごす為に行うものになったのです。
仕事への考え方は仕事で給料を貰ってそのお金で好きなことに自分の人生の時間を使うや、仕事自体で自分のスキルを上げていきたいと思い人生の時間を仕事に使うという形になりいずれも人生の時間を仕事に費やすのではなく自分の豊かさにつなげる形になって来ています。
人生の時間を労働力に捧げるのではなく時間を自分の為につかう思考がもう定着している時代なのです。会社で働いている時間でさえ自分の為になっているのかという思考になっています。
つまり会社で働いている時間が自分の時間になっていなければ、その労働力はより人生を豊かにできる労働環境に移っていくのです。
その為会社は労働時間を有意義に使える職場を作らなければならず、そこに福利厚生が重要な項目になっているのです。
この会社で働きたいと思う理由は次のようになってます。
- 第1位 仕事の内容が好き
- 第2位 人間関係が良い
- 第3位 休暇がとれる
福利厚生自体はもう少し下位になるのですが第2位の人間関係や第3位の休暇に関しては今後の福利厚生と大きく関係してくる項目であります。
補足すると、下位にある福利厚生は過去のあまり重要視されなく使われていない旧の福利厚生であります。
ここで言う福利厚生をしっかりした制度にして会社に浸透させることは、この会社で働きたいという環境を整える事になるのです。
現に新入社員が会社を選ぶポイントにも下記に様に変化が現れています。
- 第1位 給与が良い
- 第2位 福利厚生がある
- 第3位 休暇がとれる
つまり会社の魅力と将来は福利厚生がどれだけ整っているかにかかっているのです。
世の中にある魅力的な他社が行っている福利厚生
自分の会社が福利厚生に於いて魅力的な会社になっているかを判断する為には、人気の福利厚生の内容が会社にいくつあるかをチェックすると良いでしょう。
下記の一覧に一般社団法人『日本経済団体連合会』が調査した人気の福利厚生を参考にして下さい。
- 食事や昼食の補助
- 住宅手当や家賃補助
- 宿泊施設やレジャー施設の割引制度
- 財形貯蓄制度
- 法定外の健康診断(人間ドッグ)
- 社員旅行・親睦会の補助
- 生命保険の団体割引
- 慶弔金 参考 一般社団法人 日本経済団体連合会資料
時代とともに人気度は変わっていくものですが、昼食の補助が第1位というのは意外とシンプルなものが受けているのだと思います。
しかしまだ自分の会社の福利厚生があまり魅力的でないと思ったら、ありきたりな福利厚生ではなく少しユニークな内容のものを知って頂くと、新しい発想が出来ると思いますので次に福利厚生のユニークな会社を紹介します。
福利厚生名 | 内容 | 企業名 |
リフレッシュ休暇 | 心身のリフレッシュや何かにチャレンジする事を目的にした5日連続の休暇が自由にとれる制度 | メガネの三城 |
自主応募型研修 | 提携してるビジネススクールで知識やスキルを主体的に学べる制度 |
リクルート |
サービス利用権 | 自社のテーマパーク関連を利用できる券が付与され自社の商品やサービスを社員が試して感想を言える制度 | オリエンタルランド |
福利厚生のあり方を知り働き方改革をする
管理者は部下に福利厚生を積極的に活用させると士気があがる
福利厚生は時代とともにそして従業員のニーズとともに進化していくもの出なければ意味がありません。福利厚生を進化させない会社は従業員の士気も上がらす期待も薄れ次期に衰退します。
会社に雇用されているという事は会社から使われているという事なのです。しかし従業員が会社を使っているという考えを持たせることができるとやる気が生まれます。
会社を使って人生を楽しむことや、自分を成長させることが出来たら素晴らしいと思います。
そのコンテンツが福利厚生にあればよいのです。この事に気付いた管理職は自社の福利厚生の改革をするとよいのです。
会社を作っているのは取締役でも社長でもなく従業員であり、その従業員の意見をボトムアップして会社を良いものにすることができるのは中間管理職だけなのです。
福利厚生の運営方法
ここまでで福利厚生の意味や内容がある程度見えてきたと思いますので、ここからは福利厚生の運営方法について学んで頂きます。
福利厚生も会社としては経費もかかりボランティアでもないのでまずは経費についてご覧いただきます。参考に2019年度の福利厚生費調査の結果の概要を載せておきます。
1.企業が負担した法定福利費は84,392円(1ヵ月)
内訳は健康保険・介護保険で31,041円、厚生年金保険で46,832円、雇用保険・労災保険で
4,810円、子ども子育て拠出金で1,671円となった
2. 法定外福利費は24,125円(1ヵ月)
医療・健康費用は3,187円で法定外福利費に占める割合が高く健康投資に力を入れている企 業の姿勢が伺える。
法定外福利厚生については意外と経費を掛けていると思います。しかしそれが効果的に利用されていくには色々な工夫が必要です。福利厚生自体の存在や告知から始める必要がある会社もあるでしょう。利用制度も分かりやすく、公平性がとれているものにしなければなりません。また先の調査にある2万円も使ってもらっている実感がない会社はまだまだ改革をする余地があります。
ここで現在ある運営方法の中で一つ紹介しておきたいのがカフェテリアプランという制度です。
この制度をもとにもっと良いものが出来るように改革を進めていくヒントになれば良いと思います。
カフェテリアプランとは
1980年代にアメリカで生まれた選択型の福利厚生の仕組みで、企業が設定した福利厚生のメニューの中から従業員が付与されたポイント内で好きなものを選択できる制度です。
そのメニューの用意は企業が作るのではなくアウトソーシングで福利厚生の専門業者が代行で運営してくれます。
具体的には福利厚生の代行業者が用意してくれている会員サイトにログインして、利用したい福利厚生メニューを選択すると言ういたって簡単な利用方法です。また電話での受付もしてくれたりもします。
福利厚生の代行業者さんは数社あるので一覧にしておきます。各社の詳しい運営内容などはホームページを参考にして下さい。
企業名 | 福利厚生サービス名 |
(株)ベネフィット・ワン | ベネフィット・ステーション |
(株)リロクラブ | 福利厚生俱楽部 |
JTbベネフィット | えらべる倶楽部 |
楽天カード(株) | 楽天早トク給与 |
(株)イーウェル | WELBOX |
まとめ 福利厚生の利用環境が整えばWIN-WIN-WINになる
福利厚生は社員一人一人に少し経費は掛かりますが、会社として人に投資すればその見返りは業績アップとして必ず返ってきます。逆にいい人材が辞める損失や、新しい人材を採用する経費に比べたら比にならない位安いものです。
中間管理職の皆さまも今後の自社の為、自社で働く人の為に福利厚生について会社に交渉するくらいに取り組んでみては如何でしょうか。あれば良いなと思う福利厚生がないのなら作ればいいのです。
従業員は会社で働く事自体が豊かな生活となり、会社は士気があがった従業員によりよい業績が得られ、相互を結び付けた中間管理職は会社での活躍人物になります。