店舗営業を行っていると、お客様から値引きのご要望を受けることはよくある事です。
軽いノリで言われる方、条件交渉の様に言われる方などお客様によってご要望の形は様々です。
これに対して応対する側の店の方は、きっちりした対応策を準備していないことがの方が多いです。
問題は値引きという応対にて、お客様の出方に合わす店員の精神状態にストレスとなり、平常な応対ができず困っている現状があることです。
店のルールとして値引きはしないと決めている事もありますが、お客様側からはわかりませんし、営業の最前線にいる店員は値引きの一声にその場で機転をきかせて応対する事を余儀なくされます。
この記事では
「値引きの要望にどう店側は準備すれば良いのか」
「値引きを前向きなスキルアップの教材に活用する」
この2つの面で値引きをテーマに働きやすき環境つくりについて対策を紹介します。
「値引きの要望にどう店側は準備すれば良いのか」について
値引きの応対は値引きを「するか」「しないか」の2択なのですが、次の3つのポイントを段階的に押さえて準備しておくと良いです。
①第一段階「お客様の心理を考える」
基本的にお客様は買い物をするコトを楽しんでおられることを念頭においてください。
値引きでお店を困らせようとは全く考えてはいません。
店側は値引きを要望するお客様の心理に目を向けて欲しいのです。そのお客様の表現行動パターンは3つです。応対方法も書いておきます。
・挨拶の様に値引きを言うパターン
表現行動 のっけから言って来られますが笑顔で聞き流せばOK
「安くしてや~」と言われますが(特に関西)笑顔で無言で良いです
・少し言ってみるパターン
表現行動 会話中にちょっと安くなりますか?と言われます
安くなりますか?ならないですよね~と自問自答で完結されます
・交渉してくるパターン
表現行動 買われる商品が決まる頃に言われます
店員はこの場面を自然に通過できるようにします
・値引きを言われないパターン
こういう方が殆どですが後にご説明します
②第二段階「応対方法と表現方法」
基本的には笑顔で対応してください。
笑顔はお客様の値引きトリガーを回避させる効果があります。
・挨拶のように値引きを言うパターン
値引きはしなくてOK
真剣に受け止める必要はないが、軽々しく了解の表示はしない事
単に笑顔で聞き流すことがポイントで敢えて断る必要はない
・少しいってみるパターン
値引きはしなくてOK
即座に値引きは出来ないと返答はせず当店も大夫頑張って付けた値段だと説明する
お客様も勇気を出して言われた言葉なのでその発言には丁寧に答える
・交渉してくるパターン
値引きに応じる心つもりをする
値引きの方法は段階的に引きます、大抵2回以上は値引きを言われるので
あらかじめ決めて2段階構えで対応します
3回目の交渉が来る場合は 限界を伝える、若しくは100円単位で対応します
・値引きを言われないパターン
実はこういうお客様は値引きをして買う事が念頭にないか、値引きをされたくないお客様です。変に店側から値引きをすると逆に商品や店員に不信感を与えます。
③第三段階「プロ意識をもつ」
値引きの応対に対する記事ではありますが、一番大事なことはその商品の価値を崩さないという事です。
お客様は買い物するコトを楽しみにされています。
そこに一部のお客様はすこし安く買えるコトを加えたいだけです。
店員はこのお客様がコトを求めているのだとわかって接客することがプロの接客です。
お客様は要らないものや価値の無いものを値引きしてまで買おうとは思わないのは当然ですが、安易な値引きや値引きの応対で商品の価値を下げてしまう事は避けましょう。
価値を崩さない方法としては値引きをせず何か別のサービスを付ける方法も有効です。
これも予め用意しておきましょう。
「値引きを前向きなスキルアップの教材に活用する」について
そもそも値引きとは何なのかを少し考えてみると面白いです。
お客様目線では、値引きはは買い物を楽しむものですが、店側目線では利益を圧迫する負のものなのでしょうか?
やはりビジネスですから、両者WIN-WINの関係になりたいですよね。
そこで私が考えた事が売り上げではなく値引きを教育面で使うという話です。
結論から言うと
販売とはお金と商品の等価交換です。モノを売る事をしていてもコトを売らなけば等価交換は実現できてないことを教えてあげましょう。
少し厳しいないようになりますが、商品には原価と利益が含まれています。そのまま買えばお客様は損をします。例えば3万円のメガネで原価が1万円だとすると2万円分の付加価値をつけなければ等価交換にはならないのです。
つまり店の利益は付加価値であるということです。
お客様がその付加価値に値段が見合わないと思ったからこそ、その分値引きをしたいと思われたと店員は受け取ると教育に使えるという考えです。
その付加価値は笑顔の接客や説明のわかりやすさ、技術、商品の仕上がりなど色々なコトが含まれますがそれを付加価値なのだという事を意識して店員が接客しているかどうかという事が大切なのです。
時にはカリスマ店員などといわれる方もいますが、そういう方はその付加価値が多くて販売価格以上の価値にその商品を仕上げています。
またカリスマと言われなくても自らの技術に自信があれば惜しみなく提供し値引きを言わせないオーラもだすとお客様は喜ばれます。
反面値引きを言われたらその瞬間自分の応対や技術がまだまだなんだと思えることが成長に繋がり、値引きを言われたら応対の技術をもっと勉強しようと部下に考えさせる店長になるとよいですね。
結論 値引きは文化だ!店舗営業ならではの必要なコンテンツだ
基本的に値引き交渉は店員は受けるべきことだと思います。職人意識、プロ意識が強い社員は喧嘩を売られたかのように対抗心や意地を張りますがお客様はそういう買い方を楽しみたいと思っておられるので、できる範囲で店側の都合で値引き額を決めればよいのです。
値引きは文化です。
いまはインターネットで買い物も済む時代です。スマホやパソコンがあればわざわざ出掛けなくても物は手に入ります。
ですが店舗や接客がなくなる事はありません。
理由は店舗ビジネスは人が居るからです。説明書だけで人は買い物をしませんので、大事なものは店舗で接客応対を受けて買い物したいのです。
つまり店舗営業での買い物は人が居てそこに交渉の余地があってはじめて店舗営業なのです。もし値引きをしない会社があれば、この機会に文化である値引きの対策を整えて導入すれば
人間味のある魅力的な会社になると思います。
値引きにはこのようにいろんな思惑がありますが、個人の感覚に任せるのではなく、店内である程度ルールと意識統一をして準備する方が社員は働きやすいものです。
本来の仕事でない負の要因のように思われがちな値引き交渉などは考え方や対応方法によって素晴らしい教育材料であり、その方法を教育しておくだけで店の業績はプラスになるのです。